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「安いからソニーにしよう」ではなく
「この値段でも買いたい」を目指す
――ソニー・コンピュータエンタテインメント取締役
兼ソニーマーケティング社長 河野弘氏インタビュー

石島照代 [ジャーナリスト]
【第33回】 2012年8月29日
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ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンと
ソニーマーケティング、2社トップ兼任の真意

石島 話は変わりますけど、河野さんの経歴はサプライズの連続ですよね。20代の頃に東欧の市場開拓を突然担当させられたことを皮切りに、2年前にはまったく縁もゆかりもなかったゲームビジネスを手がける、ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパン(SCEJ)のプレジデントに就任しました。その人事も業界中を驚かせましたけど、今年の4月からはSCEJのトップのまま、ソニーマーケティングの社長職もなぜか兼任しています…。

河野 今回も2年前のSCEJに続く、平井(一夫ソニー社長)からのオファーでした。「今の状況を考えたらどうしてもやってほしい」と言われてとっさに、「じゃあ両方やります」って、答えていました。

石島 平井さんに押しつけられた訳じゃなくて、河野さんが勝手に両方引き受けた…。

河野 結果的には、そういうことになりますね。でも、すごくいいことをひらめいたなと思っています。正直、今まで即決したことのなかで3本の指に入るくらい素晴らしいディシジョンじゃないかな(笑)。

 理由は両方やると、エレキ部門とプレイステーションビジネスを両方見られるので、市場でのマーケティング戦略を大規模に立てられることです。「ナスネ」はその象徴といっていいでしょう。「ナスネ」は今までだと、ゲーム売り場にしか置けなかったけど、今回は私が兼務するソニーマーケティングとSCEJの両社が売るので、ITのフロア・AVのフロア・ゲームのフロアが別のところは、それぞれに展開できます。つまり、ビジネスチャンスが広がるということです。

 こんな感じで、事業部の枠組みにとらわれずにマーケティング戦略を立てるように、いろいろなことができます。もちろん、採算性は不可欠ですよ。たとえば、デジタルカメラ事業は、イメージセンサーをはじめ、主要な部品は垂直でやっています。だから利益を出しやすい体質になるのですが、事業部はどうしても垂直になる。

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石島照代
[ジャーナリスト]

1972年生まれ。早稲田大学教育学部教育心理学専修を経て、東京大学大学院教育学研究科修士課程在籍中。1999年からゲーム業界ウォッチャーとしての活動を始める。著書に『ゲーム業界の歩き方』(ダイヤモンド社刊)。「コンテンツの配信元もユーザーも、社会的にサステナブルである方法」を検討するために、ゲーム業界サイドだけでなく、ユーザー育成に関わる、教育と社会的養護(児童福祉)の視点からの取材も行う。Photo by 岡村夏林

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ゲームソフトをゲーム専用機だけで遊ぶ時代は終わった。ゲーム機を飛び出し、“コンテンツ”のひとつとしてゲームソフトがあらゆる端末で活躍する時代の、デジタルエンターテインメントコンテンツビジネスの行方を追う。

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