新型コロナウイルス危機はあとどのくらい世界経済を圧迫するのだろうか。米株式市場は投資家に紛らわしい答えを示している。2月から3月にかけてパンデミック(世界的大流行)の規模が明らかになるにつれ、勝ち組と負け組は予想通りに反対方向へ動いた。旅行や大規模な集まりに頼る企業の株価は急落する一方、「ステイホーム」関連は絶好調となった。在宅勤務で使われる備品のプロバイダーや遠隔医療会社、清掃用品メーカー、食品宅配事業などは勝ち組に入った。製薬会社は大小を問わず新型コロナウイルス感染症の治療法やワクチン候補の新たな研究を発表し、時価総額が膨らんだが、先送りされた待機手術を軸としていた銘柄は売られた。だがこのところ複数の州が経済活動を再開し、経済への影響の最悪期は過ぎたと投資家がみる中、出遅れ株が急速に盛り返している。病院が通常診療を再開したことを受け、医療機器銘柄に連動するインデックスは3月下旬から40%余り上昇。米ホテルチェーン大手マリオット・インターナショナルは4月上旬以降、60%超値上がりし、イベント会社のライブ・ネーション・エンターテインメントも約50%上昇した。オンラインスポーツ賭博の新興企業ドラフトキングスは3月中旬以降、株価が3倍余りに急騰している。