国内で数年越しの天然ガス供給過剰に直面している米国の掘削業者は暖房・発電用燃料を輸出する機会を享受したが、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が需要に影響を及ぼしており、苦境にある。ちょうど冬から回復しているはずの時期にあって、4日朝に公表されたデータによると天然ガスの在庫は5年平均を18%強上回っている。価格は在庫のだぶつきを反映している。ヘンリーハブ先物の期近物は100万BTU(英熱量単位)当たり1.82ドルと、今年つけた数年ぶりの安値より0.27ドル高いだけだ。年初から4日までに17%近く下落している。外国という切り口は、米エネルギー情報局(EIA)によれば生産されたガスの85%超が国内で使用されていることからすると意外かもしれない。だが、国内需要の弱さは在庫増大の大きな原因にはなっていない。電力需要の低下にもかかわらず、安い天然ガスは発電市場のシェアを石炭と奪い合っている。3月には石炭発電が前年同月比30%超減少した一方、天然ガス発電は11.5%増加した(EIA調べ)。