『12歳から始める 本当に頭のいい子の育てかた』は、東大・京大・早慶・旧帝大・GMARCHへ推薦入試で進学した学生の志望理由書1万件以上を分析し、合格者に共通する“子どもを伸ばす10の力”を明らかにした一冊です。「偏差値や受験難易度だけで語られがちだった子育てに新しい視点を取り入れてほしい」こう語る著者は、推薦入試専門塾リザプロ代表の孫辰洋氏で、推薦入試に特化した教育メディア「未来図」の運営も行っています。今回は、英語が得意な子に共通する意外すぎる条件について解説します。

子ども 英検Photo: Adobe Stock

「子どもに英検3級を取らせたいんです」

保護者の方から、こんな相談を受けることがあります。

「英検◯級を取らせたいんです。いつまでに、できればこの学年のうちに」

こうした声が増えている背景には、最近の英検事情もあります。実際、近年は英検の早期取得が進み、小学生でありながら「英検2級に合格しました」といった事例も、珍しくなくなってきました。SNSやメディアでそうした話題を目にすると、「うちの子も早く取らせたほうがいいのでは」と感じる親が増えるのも、無理はありません。

この言葉自体は、決して珍しいものではありませんし、悪意があるわけでもありません。むしろ多くの場合、子どもの将来を思っての発言です。高校受験や大学受験を見据えたとき、英検が有利に働くことも事実ですし、「早いうちに取っておいた方がいいのでは」と考えるのは、ごく自然なことだと思います。

ただ、ここに一つ、大きな落とし穴があります。それは、「英検を取らせたい」という気持ちが、いつの間にか親の側だけの目標になってしまっているケースです。

英語が好きになれない子どももいる

まず前提として、あまり語られませんが、子どもの中には「英語がどうしても好きになれない」タイプが一定数います。これは能力の問題ではなく、好みの問題です。算数が好きな子、国語が好きな子がいるのと同じように、英語がしっくりこない子も、当然います。

ところが最近は、早期英語教育が当たり前になりすぎていて、その事実が見えにくくなっています。幼少期から英語に触れさせ、英会話教室に通わせ、英語の動画を見せる。それ自体が悪いわけではありません。ただ、やり方を間違えると、「慣れる」どころか、「英語=ずっとやらされてきたもの」「英語=評価され続けるもの」になってしまうことがあります。

実際、私が現場で見てきた中には、「早期英語をやりすぎた結果、英語が本当に嫌いになってしまった」という子が少なくありません。発音を直され、間違いを指摘され、テストや検定の話ばかりされるうちに、「英語は楽しいもの」ではなく、「できないと怒られるもの」になってしまったのです。

そんな状態で、「次は英検◯級を目指そう」と言われたら、子どもはどう感じるでしょうか。多くの場合、それはモチベーションではなく、プレッシャーになります。