コロナで真鯛が1キロ10円に暴落しても、スーパーでの値段が変わらない理由
出荷価格が暴落しても、店頭での値段が変わらないワケとは? Photo:PIXTA

コロナ禍における自粛の影響で、特に飲食店向けの流通が滞り、さまざまな食品の流通や価格に影響が出ています。魚介類の流通にも甚大な影響が出ており、特に産地での出荷価格はかなり低迷しています。中には、立派な真鯛が1キロあたり10円にまで下がったという話も。

しかし、普段行くスーパーの魚売り場で魚介類を買おうとすると、騒がれるほどに値段は安くなっていません。これは一体どういうことなのでしょうか。

漁師の息子で築地卸売市場に勤めた経験を持ち、現在は東京海洋大学で非常勤講師も務めるおさかなコーディネータのながさき一生さんに解説していただきました。

コロナ禍と想定外の豊漁で
真鯛の出荷価格が「1キロ10円」に!?

 コロナ禍の自粛は、魚介類の産地にかなりの影響をもたらしています。スーパーなどの小売向けの流通はそれほど滞っていませんが、外食向けの需要がかなりの部分でなくなり、値段がつかない魚も少なくない状況です。

 小売店向けの魚介類は、元々規格化しやすいものが多くなっています。それらは、大量に水揚げがあるアジやイワシなどの青魚や、冷凍で出回りやすいマグロやサーモンなど、種類でいうと限られています。一方で、外食向けの魚介類は、少量で獲れる規格化されない魚も含め、多品種が流通しています。

 このように少量多品種の魚介類を獲る漁業は、小型の漁船を使い、陸から近いところで漁をする沿岸漁業に多く見られます。沿岸漁業は、漁港がある各地域で営まれていることが多く、特に被害が甚大といえるでしょう。

 出荷をしても値段がつかないとなると、在庫という概念のない漁業の場合は、出漁の機会を限定することで出荷量を調整し、労力に見合った収益を得ようとします。実際のところ、4月以降に全国各地の漁師から「天候が良かったとしても漁に出る日は週に1日や2日と限るようにしている」といった話は、普通に聞かれました。