ジョシュア・アントン氏は米バージニア大学在学中、酔っぱらって電話をかけるのを防止する「ドランクモード」というアプリを開発した。その後、スマートフォンから膨大なユーザーデータを収集し、広告主に再販し始めた。米国では今、経済活動の再開に向け、多くのほぼ無名の位置情報追跡会社が動員されている。アントン氏が立ち上げたエックスモード・ソーシャル(X-Mode Social)も、そうした企業の1つだ。いつ、どのように経済を再開するかの判断権限を持つ州や地方自治体当局は、重大な決断の裏付けとなるデータをそうした企業に頼っている。位置情報追跡会社やデータ売買企業などの仲介業者の多くは、広告配信を効率化する技術を手掛けるアドテク会社だ。そうした企業は近年、「監視経済」を生み出したとして厳しい批判にさらされている。また、位置情報をはじめとする個人向けのターゲット広告に使用されるデータは、最終的に法執行機関や政治団体の手に渡っている場合もあり、そのことについてユーザーに限定的にしか開示されていないことも多い。欧州連合(EU)のようなプライバシー法の連邦レベルでの導入を求める声に加え、カリフォルニアなどの州がプライバシー法を制定し始めている。
コロナ追跡、米自治体でスマホデータ利用増
位置情報追跡データを頼りに経済再開を判断、活用に懸念も
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