文豪,悪口
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「実に大なる田舎者である」「創造力というものが無いんだね」「そんなキタナイ小説は嫌いだ」「馬鹿!」「オタンチン、パレオロガス」――。夏目漱石、尾崎紅葉、正岡子規、田山花袋、石川啄木など、明治・大正・昭和に活躍した文豪たちの「皮肉」「嘆き」「怒り」の言葉を集めて紹介した『文豪の悪態』(朝日新聞出版)。本書の著者で大東文化大学教授の山口謠司氏が、個性にあふれ味わい深い、文豪たちの語彙の一端を紹介する。

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 文豪とは、すなわち文学や文章で際立つ力を持った人のことをいう。すぐに思い浮かべるのは、森鴎外、夏目漱石、永井荷風、川端康成、太宰治などであろう。

 しかし、文豪の生活を見ていると、何とも不思議というか、常識では考えられないような「悪態」をついて「目立つ」人たちが少なからずいることに驚かされる。そして、相手を罵ったり、悪口を言ったりするのにも、やはり、文豪ならではの表現をしているのだ。

 いくつかエピソードを紹介しよう。