トーマス・フリードマンは2005年の著書「フラット化する世界」で、今や有名な「デルの紛争回避理論」を解説した。それによると、主要な世界規模のサプライチェーン(例:デル・テクノロジーズ)に組み込まれた2つの国は、互いに戦争を始めることはないという。あれから15年たち、世界は全く違った様相を呈している。中国が世界規模のサプライチェーンの一角を占めているかどうかはもはや問題ではない。今や中国そのものが実質的なサプライチェーンとなっている。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)と自己主張を強める中国に直面する欧米諸国は、この新しい現実に目覚め、どう対応すべきかを判断しようとしている。米国やその同盟国は軍事衝突や自国経済への深刻なダメージを避けながら、いかに経済安全保障を確保すればよいのか? これほど支配的立場にある貿易大国に対し、経済・政治的手腕を通じて影響力を行使することがそもそも可能なのか?
ポストコロナ時代、米中関係の新たな現実とは
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