ドナルド・トランプ米大統領はかねて連邦準備制度理事会(FRB)を支配したいと考えており、25日夜にリサ・クックFRB理事を解任することで権力闘争に打って出た。ほんのわずかな独立性を持つ中央銀行であっても、その犠牲になるかもしれない。トランプ氏はジェローム・パウエルFRB議長を解任したくてたまらないが、市場の混乱を招き、長期の法廷闘争の引き金を引くことになりかねないとの賢明な助言に従って我慢してきた。だがクック氏が26日、解任に異議を申し立てると表明したため、トランプ氏は結局法廷闘争に入ることになる。これは画期的な裁判となる可能性がある。クック氏の解任は計画的なクーデターのようなものだ。連邦住宅金融局(FHFA)のビル・パルト局長は先週、ソーシャルメディアにクック氏の犯罪を告発する投稿をし、解任への地ならしをした。パルト氏は、クック氏が2021年の住宅ローン申請の際、2軒の住宅を主たる住居と主張して住宅ローン詐欺を働いた可能性があり、それによって有利な融資条件を得ることができた可能性があると主張した。