「社会的孤立者」「ひきこもり状態」に該当する人がいる世帯はどれほどか。新潟県のある町を対象に行われた全戸実態調査は注目に値する。その調査方法から出てきた結果まで、さまざまな点で画期的だったのだ。その理由をお伝えしたい。(ジャーナリスト 池上正樹)
「社会的孤立者」は全世帯の約8%
「ひきこもり状態」は3.5%
仕事や学校に行かず、家族以外の人との交流がほとんどない、いわゆる「社会的孤立者」は全世帯の約8%。その中で「ひきこもり状態」に該当する人がいる世帯は全世帯の3.5%に上ることが、新潟県社会福祉協議会が行った津南(つなん)町民の全戸実態調査によって明らかになった。
「引きこもり」に関する自治体の全戸調査は、全国でも珍しい。筆者の把握する限り、過去にあった同様のケースとしては、当連載でも紹介した秋田県藤里町社会福祉協議会の事例がある。2011年、全世帯を訪問する調査を行った結果、11世帯に1世帯の割合で「引きこもり状態」の該当者がいたことを明らかにした。そのことで、今や「引きこもり施策」において先進的な自治体として知られるようになった。
今回、新潟県社協が取りまとめたのは、「津南町民の日常生活のお困りごとに関する調査結果報告書」。中でも注目されるのは、その調査手法だ。