ドナルド・トランプ米大統領の経済対策はいつも矛盾に満ちている。米国が世界のハイテク産業の中心地であることを望む一方で、世界的競争力を維持するために不可欠な人材を締め出すことにした。これが22日に同氏が署名した、経済全体にわたり合法的な就労ビザ(査証)発給を制限する大統領令の意味するところだ。その狙いは、右派の制限主義者に秋波を送ることにある。彼らは不法移民には反対だと主張するが、本音では全移民の受け入れ停止を望んでいる。大統領令にはこう記された。「米国人労働者は経済のあらゆる分野で外国人と雇用を奪い合っている。臨時の仕事を行うために米国に入国する何百万人もの外国人などだ」大統領令では、季節労働者向けの非移民ビザ「H-2B」を持つ労働者を求める業種で1700万人の雇用が失われ、高技能労働者向けの「H-1B」や「L」ビザが必要な業種で2000万人以上の雇用が失われたことを例に挙げた。だがこれは失業者数を二重にカウントしているうえ、労働市場が非常に入り組み、細分化されていることを無視している。
【社説】米就労ビザ発給制限、中国に有利
米国人労働者を助ける効果がない上、米企業や経済への打撃となる
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