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 そのため、よく職人に言われていたのが、「車はいらないから商売道具は返せ!」だったそうです。車は買い替えられます。でも、お掃除屋さんだったらクリーニングセットを持っていかれたら商売になりません。商売道具はそんなに簡単に買い替えがきくものではありません。盗難が相次いだことでハイエースのセキュリティーは上がり、今は相当、高くなったみたいです。

 一方、レクサスは高級車ですから、セキュリティーにもお金がバンバンかけられているわけですよ。だから「盗まれない」と言われていたのですが、最近は同じ盗難のリスクを背負うなら高く売れるものの方がいいので、狙われる危険性が高まっているといいます。

ファミレスで食事をしている間に
レクサスが盗まれてしまう理由

 今はリモコンキーの電波で、遠隔でドアを開け閉めできます。そのため一時期、リレーアタックという、玄関に置いてある鍵の電波を中継して高級車が盗まれてしまう事件が相次ぎました。しかし、最新の手口はもっと進化しています。

 例えば、ファミリーレストランの駐車場にレクサスが入ってきたとします。窃盗犯は駐車場で待機し、運転手がいなくなったのを見計らって、コードグラバーという機械でレクサスの鍵を閉める電波をコピーするのです。電波は、鍵と車の間だけじゃなくてWi-Fiみたいに周囲一帯に飛んでいるので、コピーができてしまうのだそうです。

 コードグラバーは、整備会社などがスペアキー代わりに使っているものらしいのですが、セキュリティーの甘い国では通販で手に入るようです。また、このコードグラバーはIDの生成もできるので、セキュリティーを強化しても、すぐに破られてしまうようです。

 なお、盗まれた車はすぐにナンバープレートを変えられてしまうため盗難届を出しても見つかることはありません。