契約賃貸住宅の住人の年収に占める年間家賃の割合は、以前とは比べものにならないほど上がっている(写真はイメージです) Photo:PIXTA

これほど高いとは!
賃貸住宅「家賃負担率」の衝撃

 実家を出て1人暮らしする人は、もっぱら賃貸アパートに住んだものだ。住宅のエントリー商品は安い木造アパートで、そこからステップアップしていくのが常だった。面積を拡げ、持ち家を購入するというステップを「住宅すごろく」と呼んだ。

 世帯の人数が増える中で、こうした人生ゲームは家を引っ越すたびにダイナミックに展開した。しかし、今は昔。生涯独身が増え、車は持たず、法人の福利厚生は手厚くなった。こうした需要の変化の一方で、賃貸住宅もここ20年で大きく様変わりした。

 先日、ある賃貸管理会社の入居者調査結果をもらった。比較的高額のワンルームを運営することが多いその調査結果を見て、衝撃的なことが1つあった。家賃と年収が個別にヒアリングされたその回答結果を組み合わせると、「年間家賃÷年収」の平均が25%になった。

 これは高い!

 住宅ローンの返済額の審査基準は年収の25%までが安全で、これを超えると延滞率が急上昇し始める。自宅を購入するとき「高くても良いものを」と考えても、その世帯の年収が上がっていけば結果として何とかなる。しかし、自分の所有物にもならない賃貸物件に額面年収の25%もつぎ込むのは、贅沢といっても過言ではないと思う。

 時代は変化する。年代によってライフスタイルが異なる。賃貸住宅居住者が最も多い年齢層は、常に20代になる。だからこそ、ライフスタイルの変化は顕著に反映されていく。まず、車を所有しなくなった。車を持つことがステータスとなった時代はとっくに終わっている。レンタカーだけでなく、カーシェアが普及し、車は「所有より利用」の時代になった。