中国外務省の香港トップは先月、香港国家安全維持法案の審議を前にして、外国企業の経済団体や外交官を集め、「パニックに陥る必要はない」という政府のメッセージを伝えた。同法の対象となるのはごく少数の過激派勢力であり、世界の貿易ハブとして香港が台頭する前提となった自由市場の精神は妨げない。当局者はこう説明した。だが同法が成立し、施行された今、ビジネス関係者にとって懸念すべき材料を挙げればきりがない。香港を通過する巨額マネーの流れが今すぐ停止するとは誰も予想しないが、同法が根本的な変化の号砲を鳴らし、欧米の資金やノウハウを中国企業に結びつける香港の特異な役割をむしばむ恐れがある。「状況がどの程度悪化するのか、企業はいわば様子見の姿勢だったが、本当に悪い事態が起きてしまった」。中国の外交政策を研究するロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのクリストファー・ヒューズ教授(国際関係)はこう話す。「予想以上に早くさまざまな変化が起きても私は驚かない」
香港の外国企業、国家安全法に動揺隠せず
企業幹部が訴追される可能性も
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