米原油供給はこれまでになく急速に縮小している。世界的な供給過剰が和らぎ、燃料価格も急回復しつつある。だが、人々が自動車の運転を再開し、原油価格が1バレル=40ドル超に持ち直しても、追い詰められたシェールオイル業者にはなお不十分だ。シェール業者は最近まで、世界のエネルギー業界変革をけん引する存在だった。原油価格はその多くにとって、ブームの最中に積み上げた債務の負担を緩和するほどの上昇とはなっていない。しかも、新型コロナウイルスで需要が激減したために減産しなければならず、生産拡大で問題を乗り切ることは不可能だ。最近の米週間統計によると、原油生産は日量1050万バレルに減少した。3月下旬には日量1300万バレルと過去最高を記録していた。米石油大手シェブロンからコンチネンタル・リソーシズに至るまで、多くの企業が新型コロナ対応で油井を閉鎖し、石油掘削装置(リグ)稼働数は1983年の統計開始以来、最大級の11週連続減となった。減少率は2008年の金融危機以来の大きさだが、当時の米産油量は現在の半分にも満たなかった。
原油持ち直し、シェール業者の苦境変わらず
米原油供給の急減で世界的な供給過剰が和らぐ
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