米金融街はアップルの「iPhone(アイフォーン)」新製品に浮かれ過ぎている。実際にいつ発売されるのか、気にする向きはほとんどいないようだ。アップル株はここ1カ月で12%上昇した。ダウ工業株30種平均の構成銘柄で同期間に上昇したのは、アップルを含めてわずか4銘柄にとどまる。足元で同社の時価総額は1兆6000億ドル(約170兆円)超に達し、世界でこれを上回るのはサウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコのみとなっている。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)震源地で生産される端末の販売によって、今なお売上高の大部分を稼ぐ企業にしては、なかなかの好調ぶりだ。その上、目下の熱狂はほとんど、たった一つの端末に向けられている。アップルが今秋、初の第5世代移動通信システム(5G)対応iPhoneを発売することを、アナリストはほぼ確実視しているのだ。