災害時は健康保険証なしでも
必要な医療を受けられる

 当時は、健康保険証や所持金なしの被災者が医療機関を受診する際の明確な取り決めがなく、対応は後手に回った。だが、この時の経験から、災害時でも被災者がお金の心配をしないで医療を受けられるようにするための法整備が進み、2011年3月に起きた東日本大震災では、約1000億円の補正予算が組まれて、大規模かつ、長期的な支援策が取られることになった。

 その後、台風や地震などの大規模災害が起きた時の医療費の特例措置は、東日本大震災時の対応が踏襲されている。

 国の予算で、被災者の患者負担に無料措置が取られるかどうかは、激甚災害指定されて、補正予算が組まれてみないと何とも言えない。

 だが、発災直後はまず被災者が健康保険証なしでも、一部負担金のみの支払いで医療を受けられるようにする特例措置が取られる。また、各健康保険組合の判断で、健康保険料や医療費の患者負担分についても徴収猶予、減額・免除を行えるようになる。

 今回の九州豪雨でも、厚生労働省は7月4日付けで、次のような事務連絡を日本医師会などの医療者団体、関係省庁などに対して送付し、被災者が健康保険証やお金を持っていなくても、滞りなく医療を受けられるようにするための周知徹底を図るようにお願いしている。

●「令和2年7月3日からの大雨による災害に伴う被災者に係る被保険者証等の提示等について」(令和2年7月4日付、保険局医療課事務連絡)

●「災害により被災した被保険者等に係る一部負担金等及び健康保険料の取り扱い等について」(令和2年7月4日付、保険局保険課事務連絡)

●「「災害により被災した国民健康保険被保険者に係る国民健康保険料 (税)等の取扱いについて」の再周知について」(令和2年7月4日付け保険局国民健康保険課事務連絡)

 こうした通知が出ているため、避難する時に健康保険証を持ち出せなかったり、紛失したりしても、病院や診療所で、名前、生年月日、連絡先(電話番号)、自分が加入している健康保険組合の名称などを伝えれば、必要な医療が受けられる。

 また、加入している健康保険が分からなくても、会社員なら勤務先の名称、国民健康保険や後期高齢者医療制度に加入している人は住んでいる市区町村名を伝えるだけでも対応してもらえる。災害時は、保険証を提示できなくても医療を受けられる措置が取られるので、体調が悪い人はお金の心配をしないで病院や診療所を受診してほしい。