クレームを生業にする「プロクレーマー」の手口と、絶対NG行動とは?Photo:PIXTA

クレームを生業にする「プロクレーマー」の攻撃は
ポイントを押さえてしっかり防ぐ!

 クレームは、現代社会を反映する鏡ともいえます。世相に合わせて複雑化・多様化し、常に変化し続けているためです。新型コロナウイルス流行に伴う、自粛警察やマスク警察、SNSの誹謗中傷問題なども生活上の社会的不安を表しています。

 そんななか、先月、広島県で男女2人組が詐欺未遂として現行犯逮捕されました。そのクレーム常習犯の手口は、「大切なブランド製のカバンが汚れた」と言いがかりをつけて金を要求するというもの。私はこのニュースを見聞きしたとき、いまだにこんな“古典的”な手口が通用するのか――、と驚きを覚えました。この男女は西日本を中心に5年位前から同様の手口で金品をせしめていたようで、被害は関西や九州にも及んでおり、同じような犯行を相当数繰り返してきたことがわかります。

 なぜ、私がこの「大切なものが汚れた」というクレームの手口を“古典的”と感じたか。

 この手のクレームは対応のポイントさえ押さえることができれば、解決までそこまで難しくないからです。きちんとクレーム問題に向き合っている店舗では通用しない手口になりつつあるといえるでしょう。

 それと同時に、この手口が横行していた十数年前に起こった、とある飲食店でのクレームを思い出しました。実際に起きたクレームを、プライバシーに配慮し改変した形で紹介し、プロクレーマー対応の2つの鉄則をお伝えします。

「ブランドスーツが汚れた!」とクレーマーの怒号!
とある飲食店で深夜に起きた事件

 私が“クレーム対応コンサルティング”として独立して間もない頃、深夜枕元に置いていた携帯電話が突然鳴りだしました。まさに寝耳に水の出来事ですが、当時は“緊急のクレームが発生した場合、365日24時間連絡可能”であることを私の売りにしていたので、この鳴り響く電話も顧問先からの“SOS”だとわかりました。

 電話の先は、半ばパニック状態の飲食店の店長が、今まさにクレーマーと対峙している現場でした。