常習クレーマーは「ネットで流すぞ」「消費者団体に言うぞ」など、さまざまな脅し文句でゆさぶりをかけてくる。こんなとき、「やめてください」と対応するのは最悪だ。脅しを“のれんに腕押し”に持ち込む「K言葉」を紹介する。

「こんどはいくら儲かるかな?」

 須藤恭一は、机の引き出しを開けてほくそ笑んだ。目の前には、さまざまな商品券や優待券が並んでいる。すべて、店舗や企業へのクレームでせしめた「戦利品」だ。

 数年前、須藤は通信販売で購入した衣料品が汚れていたことに腹を立て、販売会社に怒鳴り込んだ。すると、代替品だけでなく、2万円相当の商品券が手に入った。

 これに味をしめた須藤は、ことあるごとにクレームをつけるようになった。

 購入した商品にちょっとでも瑕疵(かし)があれば、すぐに苦情電話をかける。商店やレストランでは、店員の接客態度にイチャモンをつける。そうすると、「お詫びの品」を差し出されることが少なくない。

 しかも、その「成功率」は回数を重ねるごとに上がっていった。いまでは、「クレームのネタ」を探すのが日課であり、楽しみになっている。

 その日、須藤は自信満々で、ターゲットの紳士服売り場に向かった。