成人後の喘息(ぜんそく)患者の約1割を占め、重症化しやすいアレルギーに「アスピリン喘息」という病気がある。この病気の問題点や見分け方、対応法について、谷口正実医師(湘南鎌倉総合病院 免疫・アレルギーセンター長)に聞いた。(医療ジャーナリスト 木原洋美)

解熱鎮痛薬を飲むと
最悪死に至る発作が起きる

谷口正実医師谷口正実医師(湘南鎌倉総合病院 免疫・アレルギーセンター長) Photo by Hiromi Kihara

「アスピリン喘息(ぜんそく)」と呼ばれるやっかいな病気をご存じだろうか。あまり知られていないが、成人後に発症する喘息の約10%を占める、もっとも重症化しやすい喘息だ。

 ただし、原因は不明。アスピリンだけでなく、ほとんどの解熱鎮痛薬で、息苦しさ(ぜんそく発作)や鼻づまり、鼻水などの過敏症状が起きることから、現在は「NSAID(エヌセイド)過敏喘息」と呼ぶのが正しいと考えられている。

 ノーシン、ロキソニン、イブ、バファリンなどなど、ピリン・非ピリンにかかわらず、またアスピリン・非アスピリンにかかわらず、ほとんどの痛み止めや熱を下げる薬(解熱鎮痛薬)が原因となる上に、生命の危険を伴うような強いぜんそく発作がでることが多いため、いったん発症すると患者は非常に困る。また、この過敏体質は一生続く。