谷口医師らによる治療薬の発見は、そうした厳しい状況にある患者たちに、明るい希望をもたらすものになった。この研究は、国立病院機構相模原病院の林浩昭医師らとともに谷口医師が研究開発代表者となりAMED(国立研究開発法人日本医療研究開発機構)からの研究助成を受けて行ったものである。

「アレルギー性喘息の治療薬である抗IgE抗体オマリズマブ(商品名:ゾレア、ノバルティスファーマ株式会社)が、アスピリン喘息に有効であることを確認しました。

 オマリズマブは、IgEが関与する重症アレルギー性喘息などに対して、10年以上にわたって世界の医療現場で使用され、安全性が確立されている薬ですが、非アレルギー性とされるアスピリン喘息に対する効果は誰も予想していなかったのです。

 2016年にすでに有効な機序を見つけていました。今回の研究では、その結果を基に、より正確な研究手法として、16例の患者さんにご協力いただき、オマリズマブもしくは偽薬を4週間に1回、合計3回、二重盲検比較試験で皮下注射する臨床試験を実施し、オマリズマブが症状改善だけでなく、特徴的な4つの病態(NSAID過敏、アレルギー物質過剰産生体質、副鼻腔炎症状、喘息症状)全てに効果があることを証明しました」

 素晴らしい朗報だが、どんなに効果がある薬でも、診断することができなければ、患者に投与されることもないのではないだろうか。

「それがそうでもないんです。アスピリン喘息の患者さんにはほぼ100%、鼻茸と呼ばれる鼻ポリープができます。なので、重症喘息で、嗅覚低下(コーヒーのにおいがわからない)があり、鼻茸ができていれば、アスピリン喘息である可能性が高いことがだいたい分かります。

 今は、気管支喘息の症状にはいい吸入薬があるので、コントロールはそれほど難しくありません。この病気の重症患者さんは皆さん、むしろ鼻茸で苦労しています。ひどい症状になると、ブドウの房みたいにポリープが垂れ下がり、鼻穴を完全に塞いでしまいますからね。手術(入院して行う内視鏡を用いた耳鼻科医による手術)される方も多いです」

 アスピリン喘息の治療には、オマリズマブがあり、診断の決め手は、「においがしなくなる」プラス「鼻から生えるキノコ」。

 これはぜひ覚えておきたい知識だ。

【主なNSAIDs】

◎病院で処方される主なNSAIDs:
・アスピリン(「バファリン」など)
・ロキソプロフェン(「ロキソニン」など)
・ジクロフェナク(「ボルタレン」など)
・インドメタシン(「インダシン」など)
・メフェナム酸(「ポンタール」など)
・スルピリン(「メチロン」など)
・アセトアミノフェン(「カロナール」など)**
・セレコキシブ(「セレコックス」)**
・その他

◎市販薬の主なNSAIDs:
・アスピリン(「バファリンA」など)
・イブプロフェン(「イブ」など)、
・エテンザミド(「ノーシン」「新セデス」など)
・イソプロピルアンチピリン(「セデス・ハイ」など)
・アセトアミノフェン(「タイレノール」「小児用バファリン」など多くの市販薬)**
・その他

** NSAIDs不耐症、アスピリン喘息の方が安全に使用できる薬剤

(出所:国立病院機構 相模原病院 臨床研究センターHPの内容に追記)