喘息と言っても種類がある
咳喘息と気管支喘息は違う
「咳喘息(せきぜんそく)と言われて薬をもらったのですが、咳が止まらなくて、よくなりません」
そう困って受診される患者さんはたくさんいます。確かに、咳が長引くと辛いですし、なかなか治まらないと「何か他の病気なのでは……」と不安になってしまう気持ちはよく分かります。
喘息と聞くと、誰もがぱっと思い浮かべることでしょう。しかし、喘息は喘息でも、種類があります。まずはそこから解説してみましょう。
一般的に喘息と呼ばれるもののうち、「咳喘息」は気道の炎症が基にあります。そして、この「咳喘息」は「気管支喘息(きかんしぜんぞく)」とは異なります。
「気管支喘息」は「咳喘息」の状態に加えて、気管支が細くなって呼吸が苦しくなる疾患です。咳喘息は気道が主な原因であり、気管支は細くなりません。ですので、呼吸が苦しくなることはありません。両者の共通点は、気道に炎症があることです。
二つの喘息は、咳の出方も違います。咳喘息の状態になると、特徴的な咳がでます。咳喘息の場合と、マイコプラズマ感染の際の咳の出方をイメージ図に示して比べてみましょう。咳を○で示し⇒は数分以上の間隔という意味です。
咳喘息の場合 ○○⇒○○⇒○○
感染症の場合 ○○○○○○○⇒○○○○○○⇒○○○○○○
咳喘息の咳は2個ずつ出て、何回か出たあとに、数分で止まります。冷たい空気に触れたり、湿度が変化したりすると、咳が誘発されます。先に説明したように、原因が気道の炎症であるため、刺激のある辛いもの、熱いものなども咳を誘発する基になります。もちろんタバコの煙やほこりなども咳を誘発します。できるだけ、避けなければならないことはいうまでもありません。
このように刺激で咳が誘発されることをアレルギー反応ともいいます。アレルギーというとアレルギーの原因は何かという質問になりますが、今の場合は炎症があるために、刺激でアレルギー反応を起こすと説明すべきでしょう。
一方の気管支喘息は、気管支に収縮が起こるので30分から1時間程度の咳と呼吸困難の状態が続きます。医師は患者さんにどのような咳が出るかと聞くことで、「咳喘息」か「気管支喘息」かの判断します。ちなみに、図の事例として示したマイコプラズマ感染の場合の咳は、咳の回数は2回よりは多く、昼夜を問わず頻繁に出ますから、これも患者さんに咳の出方を聞く方法で判断します。