香港の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は31日、9月に予定されている立法会(議会)選挙を1年延期すると発表した。新型コロナウイルスの感染者数増加が理由としている。香港を巡っては、政治的自由が急速に失われてゆく現状に懸念が高まっており、今回の決定は国際社会のさらなる反発を招きそうだ。林鄭氏は記者会見で、コロナの新規感染者数が10日連続で100人を超えたことを挙げ、公衆衛生を巡る状況が悪化していると述べた。その上で、もし440万人が投票に向かえば感染拡大リスクが高まるとの見解を示した。中国が香港国家安全維持法を施行して1カ月がたち、香港では反政府抗議活動に対する締め付けが強化されている。香港の親中派有力議員は公衆衛生上のリスクなどに言及し、選挙の延期を訴えてきた。一方、民主派は選挙延期を政治的弾圧の一環とみなしている。