長期にわたり上昇傾向にあったドルは今夏、急速に下げており、多くのトレーダーを混乱させている。だがドル急落は、今年の株式市場が予想外の回復を遂げる追い風となる可能性がある。複数の主要通貨に対するドルの強弱を表すインターコンチネンタル取引所(ICE)のドル指数は7月、過去10年近くで最悪の月となっており、最近は2年ぶりの低水準を記録した。中国やドイツなどの国々で成長が加速する一方、新型コロナウイルス感染者増が米国経済の回復に歯止めをかけるとの懸念が最近高まっており、3月後半に下げに転じたドルはさらに軟化している。レイ・ダリオ氏やジェフリー・ガンドラック氏などの著名投資家は最近、米政府が金融システムに資金を大量注入しているため、次第に物価が上昇し、消費者の購買力が損なわれかねないと公言している。財政赤字が急増すると、投資家は自国通貨を手放す傾向にある。格付け会社フィッチ・レーティングスは7月31日、米国の債務格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に引き下げた。