Tinderは当初から若年層が対象になっており、そこからターゲットを変更していません。ただ、彼らは生粋のデジタルネイティブ。常に新しいものを求める傾向があり、求めるものがどんどん変わります。
我々が数年かけて、彼らZ世代がオンラインツールをどのように使うか、じっくり観察してわかったのは、彼らにとって「出会い方がリアルかデジタルかは、あまり関係ない」ということです。
一昔前はコーヒーを飲みながら相手を深く知るのが当たり前でした。リアルでの出会いとデジタルでの出会いを完全に切り分けていたのです。
でも、Z世代にとっては単なる“出会い方の違い”でしかない。デジタルを通してでも本格的なつながりが作れるのです。決して恋愛に対する考え方が変わってきているわけではなく、デジタルの活用の仕方を理解しているだけなのです。
――オンラインへの心理的ハードルが低くなっているのですね。コロナ禍で、その傾向は助長されたのでしょうか。
コロナの影響で如実になりましたね。誰もが、リアルでしかできなかった飲み会やゲームを、デジタルでするようになったでしょう。コロナ禍においては、若年層のみならず年配者もデジタルの障壁は下がったのではないでしょうか。これは社会的にも大きな変化です。
実際、Tinderユーザーのメッセージのやり取りは、コロナ禍に入ってから20%も上昇しました。さらに、一人の相手に対しての会話に限定すれば、25%上がっています。それだけ、世界中の人が誰かと会話したくなったのでしょう。
――未曽有のウイルス感染によって、これまで経験したことのない寂しさを世界中の人が感じているのでしょう……。仮にコロナが収束したとして、その後の世界でも、デジタルでの出会いや親交を重視する文化は維持されるのでしょうか。