結局、都市封鎖は人権侵害とセットだから機能したとみなされ、隠蔽体質が初動を誤らせ、世界に甚大な損害を与えたという非難が広がっている。「中国モデル」は散々な評価だといえるだろう。次の「覇権国家」を狙った中国の行動に、世界が強い警戒心を抱いてしまっている。

欧州で吹き荒れた
ポピュリズム旋風が失速した理由

 次に、米国の同盟国である自由民主主義国に目を転じてみたい。これらの国ではポピュリズムが台頭し、英国の保守党と労働党、ドイツのキリスト教民主同盟(CDU)と社会民主党など既存政党が苦境に追い込まれていた。自由民主主義への信頼は揺らぎ「時代遅れ」だとして、権威主義体制の優位性を中国が主張した。

 しかし、新型コロナ感染拡大は、ポピュリズムを退潮させて、既存政党を救った。なぜか。

 ポピュリズム現象は、保守とリベラル双方の既存政党が都市部中道層の有権者の支持を得るため、緊縮財政や規制緩和、移民受け入れなどを実行し、それに各政党のコアな支持層が不満を募らせたことで起こった。ポピュリスト政治家たちは、財政バラマキや排外主義を煽情的に訴え、既存政党のコアな支持層を奪ったのだ(第218回)。

 その結果、ポピュリズムは欧州を席巻したが、新型コロナ感染拡大後、各国の指導者の支持率が劇的に回復。ドイツではアンゲラ・メルケル首相の支持率が3月末に79%まで急回復。英国のボリス・ジョンソン首相の支持率は、19年12月時点で34%だったが、3月末に支持率52%に上昇した。

 その理由は、新型コロナ対策として実施した都市封鎖の打撃を緩和するために、大規模な経済支援策を打ち出したからだ。既存政党が空前の規模で「バラマキ」を断行し、ポピュリズム政党を支持していた人たちが、既存政党に戻っていったのだ。

 一方、日本では、欧州のような現象は起きなかった。それは、自由民主党が保守層からリベラル層まで幅広く支持を獲得しているために、そもそもポピュリズムの台頭がなかったからである。