退職者募集企業は
昨年の2倍以上

 早期・希望退職の実施を開示した上場企業は、2020年上半期(1-6月)だけで41社に達した(東京商工リサーチ調べ)。

 2011年以降は、上半期(1-6月)に早期・希望退職を募集した上場企業は40社に届かず、景気拡大を背景に人手不足が広がり、過去5年間の上半期は20社を下回って推移してきた。

 だが、新型コロナで状況は一変した。2019年同期(18件)と比べ、今年は2.2倍に急増し、5月ですでに2019年の通年件数(35件)を上回るハイペースだ。

 募集人数の合計は7192人で、2019年上半期の8211人を下回っている。2019年は、富士通、東芝、ジャパンディスプレイ、ルネサスエレクトロニクスなど、構造不況に苦しんだ大手電機メーカーで1000人を超える大型募集が4件あったためだ。

 今年は1000人以上の募集はレオパレス21の1件(応募を含めるとファミリーマートの2社)だけで、小規模の募集が特徴になっている。ただ、東芝テック、日立金属、三越伊勢丹HDなど8社が募集人数を開示しておらず、これらの企業の動向も注視される。

 業種別で見ると、上半期はアパレル関連が6社で最多だった。次いで、小売5社、電気機器と輸送機器が各4社で、アパレル関連の苦境が目立っている。

 ただ、募集人数が少ないからといって、影響が少ないわけではない。募集人数が少なくても、赤字企業がやむを得ずに実施を迫られる“切羽詰まった”企業が集中しているからだ。

 2020年上半期に募集を開示した企業のうち、直近決算が黒字決算のいわゆる“先行型”は21社で構成比は51.2%だった。

 一方、2019年同期(1-6月)に早期・希望退職を募集した18社のうち、黒字企業は12社(構成比66.6%)と約7割に上った。ところが、2019年通年(1-12月)では35社のうち、通期決算で最終赤字が15社(構成比42.8%)まで増え、黒字企業の割合は6割を割り込んだ。

 従来、赤字や減収減益など業績不振企業の早期・希望退職の募集は、本決算を発表した後の6月以降に本格化する。このため、コロナ禍で赤字企業が増えている今年は、下半期以降が要注意ともいえる。2020年はすでに早期・希望退職を募集した企業の赤字決算は半数にとどまっており、“本当のヤマ場”は迎えていない可能性が高い。

 なお参考までに、7月以降は5件を超える赤字企業が募集に動いている。