新型コロナウイルス対策に伴う入国制限により、外国人企業幹部の多くが中国の職場に復帰できず、国外に取り残されている。中国へ戻ることを完全にあきらめる人も出ており、所属する企業の事業運営に課題を突き付けている。新型コロナによる渡航規制の影響は事業活動だけでなく地政学的問題にも及んでいる。米中の緊張が数十年ぶりの水準に高まる中、これまで双方の緩衝材の役目を果たしてきた米財界が渡航規制によって空洞化しかねない状況だ。在上海の米商工会議所のカー・ギブス会頭は「在中国の米財界の大部分がなくなれば、親善がむしばまれる」と語った。また、中国での米企業の存在感が恒久的に縮小すれば、米国は影響力を失い、経済的にも痛手を被ると指摘した。