残業代・休日手当はなし
自衛隊と刑務所の違いとは?

 現在、自衛官たちの賃金は、自衛官候補生(2~3年の任期制隊員)の初任給が14万2100円、一般曹候補生(部隊の中核である「曹」候補)は17万9200円。その他に、ミサイル対応1100円、(比較的危険度の低い)不発弾の捜索や発掘250円~1万0400円、潜水器具を使った作業350円~1万1200円などの手当が1日あたりつくこともあるが、金額の幅が大きい。

 また、普段はそれぞれの職業に就き、召集がかかれば任務に赴く「即応予備自衛官」は、訓練では1日1万0400円~1万4200円もらえるが、いざ本番の招集では訓練時の6割程度しかもらえない場合もあり、実戦の手当の方が安いという矛盾もある。

「よく自衛官は衣食住が無料という誤解がありますが、あらかじめ給料から経費を天引きされて俸給が決められ、残業代や休日手当もありません。曹クラスの自衛官も53歳で定年を迎えますが、彼らの再就職は簡単ではなく、年金受給開始の65歳までの収入補填(若年給付金制度)は曹クラスでは毎月10万円程度で生活に困窮する人もいます。しかもこの若年給付金制度は、収入が一定基準を超えた場合は返納しなければならず、いわば“働いたら負け”の制度でもあるのです」

 さらに、「こんな安月給で、長期休暇の一つでもとらないとやってられない!」と思っても、今度は面倒な手続きが待っている。

「お盆の帰郷や新婚旅行で遠方に出かける場合、休暇許可申請手続きが必要になりますが、この手続きがとにかく細かい。利用する路線名、発着時間、乗車駅、降車駅、昼食時間などすべての旅行日程を記載せねばならず、書類に不備があれば何度でも突き返されます。万が一、そのまま脱柵などしようものなら、家族や友人宅にまで捜査が及び、かかった捜査費はすべて請求され、規律違反で処分も下されます。民間企業と違い、自衛隊は退職届を出してもすぐに退職が承認されず、場合によっては年単位で交渉を重ねる必要があります」

 果たして自衛隊と刑務所の違いは何なのだろうか。

「刑務所は、受刑者が脱走しないように壁上の柵が内側(敷地側)を向いているのに対し、自衛隊基地は、外敵からの侵入を防ぐため柵が外側に向いています。それ以外はほとんど同じと思っていただいて構いません」

 新型コロナウイルス渦の中、自衛官たちは雨の日も風の日も、国防と国民のために尽くしてくれている。彼らの正義感が報われることを願ってやまない。