――筆者のジェラルド・F・サイブはWSJのチーフコメンテーター
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ドナルド・トランプ米大統領はここ4カ月以上、主要な世論調査の全てで支持率が低下しているが、たとえ不安を抱えて今週の共和党全国大会を迎えたとしても、そんなことはおくびにも出さずにいる。
週末に電話で話したトランプ氏は、「われわれは多くの場所で優位に立っている」と言い切った。現状は4年前にそっくりだとし、「違うのは、われわれが当時より好調なことだ」と語った。
さらに、「もうすぐ大きなサプライズ」が起きることを約束すると述べた。トランプ氏が予言しているのは、大統領選の民主党候補であるジョー・バイデン前副大統領との対決に関するサプライズだけではない。「下院を取り戻す」との大胆な予言もした。
念のために言うと、下院民主党は現在、トランプ氏率いる共和党を34議席上回っている。大方のアナリストは民主党がさらに有利になると予想しており、優位を失うとは考えていない。実際、共和党の下院奪還を予測している政界の予言者は、トランプ氏ただ一人かもしれない。
そのような会話では、どこまでが大言壮語でどこからが現実的な予想なのか、見極めるのはもちろん難しい。だが明らかに、再選へ向け正式に共和党の指名候補となるトランプ氏の胸には、2016年の先例が強く残っている。当時の世論調査は誤っていた、今も当たらないだろう、とトランプ氏は信じている。自身が「最も素晴らしい基盤」と呼ぶ支持者層はなお健在だ。