金相場は、史上最高値更新を続けた後、上値を抑えられた推移となっている。3月16日には1トロイオンス当たり1450ドルと今年の安値を付けた。新型コロナウイルス感染拡大で株価や原油価格が急落する中、投資戦略の見直しや追加証拠金の捻出のため、金も現金(ドル)を求める換金売りの対象になった。15日の日曜日にFRB(米連邦準備制度理事会)が1%の緊急利下げを決定した翌日のことだ。
しかし、その後、金は上昇した。
4月は、上旬に米景気指標の悪化やFRBの追加的な資金供給策の発表を材料に金の上昇幅は大きくなった。原油のマイナス価格への暴落を受けて金に換金売りが及ぶ場面もあったが、すぐに持ち直した。月末にかけては、欧米での新型コロナ対策で導入された経済活動の制限を緩和する動きが金の売り材料になる場面もあった。
5月は、経済活動の再開やワクチン開発を巡る報道が弱気材料だったが、一方で、トランプ米大統領による新型コロナ感染拡大について中国の責任を追及する発言、感染第2波への警戒感、パウエルFRB議長のハト派的な議会証言、中国政府による香港への国家安全維持法導入方針、米国での黒人拘束死を受けた抗議デモの拡散などが強気材料となった。