テレビ通販チャンネルを手掛ける米QVCと競合するホーム・ショッピング・ネットワーク(HSN)が2017年に合併したのは、実店舗での対面販売業者と電子商取引(Eコマース)業者の両方との競争で優位に立つことを期待したからだった。ただ、それは簡単なことではなかった。合併後の新会社キュレート・リテール・グループの業績はこれまで、まだら模様だった。これは他の小売業者が経験した売上高の変動と大差はなかった。だが今年は、多くの伝統的な小売業者の売上高が打撃を受け、多くが倒産した中で、QVCを運営するキュレートは持ちこたえてきた。同社の4-6月期決算は、売上高が前年同期比で10%増加し、予想を大幅に上回った。だが企業価値の評価の点では、まだ他に後れを取っている。調査会社S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスによれば、同社のEV/EBITDA倍率(利払い・税引き・償却前利益に対する企業価値の倍率)は5.6倍。前四半期に売上高が20%以上減少した米百貨店チェーン大手コールズは約8倍、ノードストロムは約9倍だ。キーバンク・キャピタル・マーケッツのアナリスト、エドワード・イルマ氏のリポートによると、電子商取引(Eコマース)企業全体では、EV/EBITDA倍率は平均で30倍ほどという。