安倍晋三総理大臣が8月28日、辞任すると発表した。そこで、安倍政権が行ってきた数々の政策のうち経済政策、いわゆるアベノミクスについて、その総括をしてみたい。どのような成果があったのだろうか。(名古屋商科大学ビジネススクール教授 原田 泰)
コロナ以前の経済政策を総括
安倍晋三総理は、第1次安倍政権と第2次安倍政権の在任日数を合わせて、2019年11月20日に桂太郎総理の2887日を超えて、憲政以来の長期政権を樹立した。さらに、8月24日には、第2次政権だけでも連続在任日数が2799日に達し、佐藤栄作総理を抜いて歴代最長となった。
ところが、8月28日、持病の潰瘍性大腸炎が悪化したため、辞任を表明することとなった。新型コロナウイルス感染者数が低下傾向にあり、ワクチンの開発と相まって来年のオリンピック開催も期待されるところ、安倍総理本人は大変残念に思われているのではないか。
安倍総理は、功績は歴史が決めることと発言されているが、経済面だけについて私の考えを述べれば、日銀、財務省、経済学者、エコノミスト、金融業界の反対を押し切って、アベノミクスの第1の矢、すなわち大胆な金融緩和政策を実現したことが最大の功績であると考える(ここで述べる経済改善は、もちろん、コロナ以前のことである)。