安倍首相辞任後も株式相場や円相場に大きな変化はないという見通しに、信憑性はあるのか(写真はイメージです) Photo:PIXTA

安倍首相の電撃辞任を受けた
金融市場関係者の「意外な見方」

 安倍晋三首相は、8月28日17時からの記者会見で、辞任する意向を正式に表明した。首相の自民党総裁としての任期は、2021年9月末。首相の後継を選ぶ党総裁選の時期や形式は二階俊博幹事長に一任されたが、総裁選は9月に実施される見込みだ。

 安部首相が辞任を表明する前の同日午後、「安部首相が辞任する意向を示した」との報道が金融市場に伝わった。日本の株式市場は、この報道に対し売りで反応。日経平均株価は一時2万22594円と、この日の高値(2万3376円)から800円近く下げた。

 為替市場では、辞任報道を受けて円買いの動きが強まった。ドル円は106円台後半から106円ちょうど近くまで下落。ユーロ円は126円台後半から126円ちょうど近辺まで下げた。株式市場にせよ為替市場にせよ、安部首相辞任報道で株高・円安というアベノミクス相場が終わったとの連想が働いたのだろう。

 興味深いのは、各種メディアに掲載された安倍首相の辞任報道に対する金融市場関係者のコメントだ。金融市場がアベノミクス相場の終焉を連想したにもかかわらず、彼らの多くは、「安部首相が辞任したとしても、日本株相場や円相場に大きな変化が生ずることはない」との見方を示した。一部からは、「辞任報道を受けた市場の反応は、新たなポジション構築のいい機会だった」との見方すら示された。

 安倍首相が辞任する意向を示したとはいえ、自民党総裁選の時期や形式すら決まっておらず、次期首相を確実に見通すことは誰にもできない。それにもかかわらず、日本株や円に大きな変化がないとの見方が多いのは、「次期首相による各種政策は、安倍政権下と大きく違うことはない」との期待感が強いからだろう。

 次期首相は当面、新型コロナウイルスや景気悪化に対応せざるを得ず、結果として次期首相は(誰であっても)独自色の強い政策を打ち出しにくい、との見方はもっともらしい。政策の継続性が保たれるのであれば、日本株相場・円相場ともに大きな変化は生じない、というロジックは合理性があるようにみえる。