オンラインフォーラム

日本版CSV(共通価値の創造)である「JCSV」の提唱者、一橋大学大学院経営管理研究科客員教授の名和高司氏は先頃、中国版CSV「CCSV」の発起人である鄭燕氏(電通公共関係顧問(北京)有限公司CEO)ほか中国の経営者やメディア関係者などと、「アフターコロナ時代の企業にとって持続可能な経営とは」をテーマにオンラインで議論を交わした。本稿では、アフターコロナ時代にCSVをどう活かすかについて名和氏と鄭氏が語り合った、オンラインフォーラムの第1部の模様を紹介する。(構成/ジャーナリスト 田原 寛)

欲望の資本主義に代わる、「志本主義」の経営

 日中をオンラインで結んだフォーラムは、JCSVの提唱者である名和高司氏のプレゼンテーションから始まった。テーマは「志本経営の時代――ニューノーマルにおける新SDGs経営――」である。

 2015年に国連がSDGs(持続可能な開発目標)を採択して以降、多くの企業が中長期的な経営戦略を立案するうえで、SDGsの17の目標を念頭に置くようになった。社会の持続可能性を損なう事業活動を行っていたのでは、企業としての持続的成長は望めないと考えるようになったからだ。