国際連合(国連)が提唱し、2030年へ向けた世界の羅針盤として注目されるSDGs(持続可能な開発目標)。日本においても、国や自治体、民間企業が、それぞれさまざまな取り組みを進めている。これからの10年で、どのような成果を実現していくのか――その17の目標と169のターゲットを理解するだけではなく、一歩踏み込んだアプローチや角度を変えた視点が求められているいま、SDGs誕生の理由を再考してみよう。(ダイヤモンド・セレクト「オリイジン」編集部)
*現在発売中の『インクルージョン&ダイバーシティ マガジン 「Oriijin(オリイジン)2020」』から転載(一部加筆修正)
世界と未来を見据えた
「人類共通の課題カタログ」SDGs
SDGsは、Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略である。2015年に国連総会で採択され、2030年までに各国政府や民間などの努力で達成する世界的な課題をまとめた「2030アジェンダ」の中核をなすものだ。
たとえるなら、「みんなでこんな世界をつくろう!」「こういう未来ができたらいいね」という“人類共通の課題カタログ”と言えるだろう。
具体的には、17のゴール(目標)と169のターゲット、244の指標がある。
17のゴールについては、数字とピクトグラムで構成されたカラフルな正方形のアイコンが用意されており、最近では、これらのアイコンを街なかのポスターやテレビコマーシャル、さらには、電車の車両などでも見かけるようになった。また、スーツやジャケットの襟元にリング状のバッジをつけているビジネスパーソンも増えている。「カラーホイール」と呼ばれるSDGsマークのひとつだ。
そうした一方で、17のゴールと169のターゲットの正式なテキスト(英文のほか、外務省の仮訳がある)をじっくり読んでいる人はそれほど多くないだろう。目をしっかり通したことがある人にとっても、その全体像を理解するのは簡単なことではない。