―WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」
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中国で債務比率が特に高い不動産デベロッパー2社が株式市場で売り圧力にさらされている。中国政府が債務水準の高さに改めて目を向けていることも一段の圧力となるだろう。ただ、中央政府の取り組みは同国の経済モデルにおける重要な問題に対応していない。資金が乏しい地方政府は、重債務を抱える不動産開発会社に土地を買い上げてもらう必要があるのだ。
デベロッパー大手の中国恒大集団(チャイナ・エバーグランデ・グループ)とサナック・チャイナ・ホールディングス(融創中国控股有限公司)の株価は今年に入り、それぞれ19%と30%下落している。上半期の決算が振るわなかったことも一因だ。2020年上半期の純利益はエバーグランデで前年同期に比べほぼ半減した一方、サナックは6.5%増と、19年通期の57.1%増を大きく下回った。
だが株価の急落は他にも、中国政府から新たに歓迎されざる関心を引きつけていることを反映している。中国人民銀行(中央銀行)は先月、高い債務水準について議論するため、デベロッパーを一堂に集めた。国営メディアによると、会議ではデベロッパーが避けるべき三つの「レッドライン」が示された。資産負債比率70%超、純負債資本倍率(ネットDEレシオ)100%超、そして手元資金の短期債務倍率が100%を割り込むことだ。