大阪府堺市で2018年7月に発生したあおり運転殺人事件で、最高裁は7月31日、殺人罪に問われ1、2審で懲役16年が言い渡された中村精寛被告(42)の上告を棄却する決定をした。あおり運転に殺人罪の適用が可能との司法判断が確定し、東名道の夫婦死亡事故をきっかけにした今年6月の改正道交法施行で厳罰化も進んだ。高速道で男性を威嚇して殴る映像がテレビで繰り返し流された宮崎文夫被告(44)の初公判も先月27日に開かれたばかりだが、あおり運転に対する包囲網は着々と拡大している。(事件ジャーナリスト 戸田一法)
被害者死亡は被告の想定内と殺意を認定
1、2審判決によると、中村被告は18年7月2日午後7時半ごろ、堺市南区竹城台の府道で車を運転中、大学4年の高田拓海さん(当時22)のバイクに追い抜かれて立腹。
急発進して約1分間にわたり追跡し、時速100キロ近いスピードで追突。高田さんに脳挫傷や頭がい骨骨折を負わせ殺害した。
裁判員裁判の1審大阪地裁堺支部の判決は、ハイビームの照射を続け、何度もクラクションを鳴らして「死んでも構わない」という気持ちで追突させたと殺意を認定した。