中国が強行導入した過酷で不透明な「国家安全維持法(国安法)」は、われわれが知る香港の終焉(しゅうえん)を意味するのだろうか?金融関係者にとっては、答えはノーだろう。中国本土への優先玄関口、安定した通貨、開かれた資本市場――香港はなお、こうした中核の強みの多くを維持している。だが、その他の面においては、国安法がもたらす打撃は極めて深刻な可能性がある。金融中心の香港経済を多角化することで、中間層を支援する社会へと移行することは一層難しくなるだろう。香港市民は成長目覚ましい本土の都市へと移るか、遠い外国へと移住するか、もしくは機会に恵まれない状況が続く中で、民主主義も後退するとみられる香港に残るか、受け入れ難い選択を迫られている。