「ONE TEAM」な働き方では若手社員はついてこない

 ひと頃ほどではなくなったとはいえ、まだまだ“ブラック企業”はたくさんあります。もちろん、働き方改革、ハラスメント問題が連日メディアで騒がれるようになったため、目に見えるブラックさはなくなっています。残業代を払わない、怒鳴りつける、セクハラなどの露骨なケースはかつてよりはずいぶんと減ってきていると思います。しかし、全体同調を良しとする目に見えないブラックな部分はまだまだ多いのが現実です。

 私は「2019ユーキャン新語・流行語大賞」に選ばれた「ONE TEAM(ワンチーム)」は素晴らしいフレーズだと思います。同年、ワールドカップで大活躍したラグビー日本代表のスローガンで、彼らの活躍ぶり、躍進ぶりは思い返すだけで胸が熱くなります。

 しかしながら、スポーツの世界では異論のない価値観であっても、企業やビジネスの世界にそのまま応用できるわけではありません。「ウチの会社もワンチームでまとまるぞ」とリーダーが言い出した場合、ダイバーシティ(多様性)という価値観とは対極にある“ブラックな環境”を生み出すリスクもあるのです。

 そもそも、ラグビー日本代表がたどり着いた「ONE TEAM」も、初めからスローガンありきのものではなかったといいます。ラグビー日本代表のメンバーは、ご存じのように出身国も違えば、考え方も習慣も一つではない、まさにダイバーシティの象徴のような集団です。そんな中で、何度も話し合いをし、違いを理解し、互いに歩み寄ることでたどり着いたのが「ONE TEAM」なのです。そういったプロセスをいっさい省いて、言葉だけで「ONE TEAM」を強要したところで、いまの時代、真の意味でチーム(部署)がまとまるはずもないでしょう。

 むしろ、私はこのご時世において、ワークライフバランスに反して、全体を一律に管理しようとする経営手法は、ブラック認定に属すると考えます。実際に、明白な法令違反はしていなくても、みんなと同じにしろと心理的に追い詰める、柔軟性のない規則の中で働きにくくして追い詰める、といった世界の潮流に逆行するグレーとも言える企業が増えています。