たとえば、9時から5時の定時フルタイム勤務のみで、フレックスタイム制度が認められなければ、子育てや介護をしている人にとってはグレーな職場です。従業員の個人個人の働く事情を認めず、みんなそうしているのだから、あなただけ特別待遇は許さないという価値観で、認めてもいいはずの個の事情を押し潰している。

 コロナ下でもそうです。2020年4月上旬のアンケートでは、自宅などでテレワーク勤務ができるのは、わずか3割程度の企業でした。すぐに一律にテレワークは無理であっても、社員の感染リスクを減らす方法はあるでしょう。たとえば、長時間の通勤は感染リスクが高まる。だから、遠距離通勤者から優先して自宅勤務に切り替える手もある。自宅にPCがないなら会社から支給すればいい。でも、一部の社員にだけそんな取り組みをすれば、必ず内部からクレームが出てきます。

「なぜ彼らだけが特別待遇を受けるのか」と、現場からの風当たりが強くなります。中高年の管理職世代は「若い社員は権利ばかり主張する。もっと愛社精神を強く持ってほしい」と言います。でも、若手社員が愛社精神を自然に持つような、頑張りたくなる環境や待遇が整えられているかどうかも重要なのです。

>>次回は9月23日(水)に公開予定です。