「ひきこもり中高年者」が
61万3000人に上ると初判明

 事態が大きく動く転機になったのは17年。3月の参議院決算委員会で、山本議員が「大人のひきこもり」に関して実態調査を求める質問をしたところ、当時の加藤勝信・内閣府特命担当大臣は、「40歳以上の引きこもり状態の方々の実態把握は重要」だと回答。これまで置き去りにされてきた「40代以上も調査の対象に加える」方針を明らかにした。

 こうして安倍政権の中心的な官庁である内閣府が、40~64歳の「ひきこもり中高年者」の実態調査を初めて実施。19年3月には、推計約61万3000人に上るという結果が公表された。

 これを受け、当時の根本匠・厚生労働相は、「大人の引きこもりは新しい社会的問題だ」「1人1人が尊重される社会の実現が重要。『8050』世帯も含め、対応していく」などと発言。引きこもる50代の子を80代の親が世話をする状況を表す「8050問題」という言葉に象徴される通り、引きこもる本人だけでなく家族も支援していこうという認識が広がった。国の「引きこもり支援」の在り方が新たなフェーズに入ったことを印象付けた。

 厚労省は18年度、「就労準備支援・ひきこもり支援の充実」費として、新たに総額13億円を翌年度の予算案に計上。15年4月に施行された生活困窮者自立支援法を法的根拠に、このころから国の「ひきこもり支援政策」の方向性は変化。引きこもり当事者の「就労」を目標にするのではなく、生きたいと思えるためのつながりをつくる「居場所支援」に変わっていく。

 そして19年4月、公明党は厚生労働部会や内閣部会、障がい者福祉委員会などの関連する合同部会で、筆者の所属する「KHJ全国ひきこもり家族会連合会」や「ひきこもりUX会議」などの当事者団体を呼んでヒアリングを実施。その後、合同部会の国会議員団がKHJ東東京支部「楽の会リーラ」などの視察に出かけて意見交換を行ったのも、党派に関わらず初めてのことだ。

 同年6月、厚労省社会援護局は、各都道府県・指定都市のひきこもり支援担当部(局)長や各自治体の生活困窮者自立支援制度主管部(局)長宛てに、「ひきこもり状態にある人たちや家族から相談があった際、本人たちの特性を踏まえた相談支援にあたっての基本的姿勢や留意事項を示し、それぞれに丁寧な対応を徹底するよう」通知した。