さらに、根本厚労相(当時)にKHJ家族会とUX会議が呼ばれ、意見交換会が行われた。「ひきこもり」というテーマで、それぞれの当事者団体が厚労相に呼ばれるのも、初めての出来事といえる。

 安倍政権が20年度から3カ年計画で取り組もうとしていた「就職氷河期世代活躍支援プラン」にも、公明党が与党として「長期の引きこもりの方々も含めた支援も見据えないといけない」と提言。政府の中心的な政策の中に、「ひきこもり(8050問題等の複合課題)支援」として、「社会とのつながりをつくり、社会参加に向けたより丁寧な支援を必要とする方(ひきこもりの方など)」も組み込まれることになったという。

 実際に19年度の補正予算では、内閣府の就職氷河期世代加速化交付金として30億円が付き、いくつかの自治体で「ひきこもり支援」にも活用されている。

 20年には、コロナ禍の国会で社会福祉法が改正(21年4月施行)。「8050問題」や子育てと親・親族の介護が重なる「ダブルケア」などの複合的な課題にも、市町村の現場が対応できるようにした。

 山本議員は次のように振り返る。「これまで引きこもり支援には法的な裏付けがありませんでした。そこで、生活困窮者自立支援法の中に引きこもり支援を位置付け、さらに、生活支援プロジェクトチームの山本香苗座長(参院議員)らと、改正社会福祉法で明記された「重層的支援体制整備事業」について、国として4分の3を財政支援すべきだと加藤厚労相にも提言。断らない相談対応によって地域で支え合っていけるような法改正につながったと思います」

東京都でも改善が見られた
引きこもり支援体制

 一方、首都・東京都でも19年4月に引きこもり支援の体制が変わった。引きこもり施策の担当部局が、従来の「青少年・治安対策本部」から、8050問題にも対応できる「福祉保健局」に移管。新たに当事者団体を委員に加えた「ひきこもり支援協議会」がスタートしたのだ。

 移管のきっかけは、都内の複数の引きこもり当事者グループや家族会による要望だった。青少年・治安対策本部が担当していては「ひきこもりが犯罪者予備軍との印象を与える」として、小池百合子都知事や都議会各会派に訴えたことに始まる。