雇用が本社か現地かで
社会保険料が大きく違う

1、本社雇用で現地派遣なのか、現地採用なのか?

 事実上、本社雇用の場合と、現地採用の場合で待遇が異なることが多い。

 本社雇用の場合は、給与・手当の面だけではなく、日本における各種社会保険の加入が維持されるというメリットもある。逆に、会社にとっては、現地採用の場合に比べると大きくコストアップになる。したがって、中国の現地法人の管理について、人件費を削減し、意思決定の迅速化を図るなどの様々な理由から、人事・財務権限を中国人従業員に委譲する現地化を進める会社が増えており、費用がかかる本社雇用は徐々に減っているようだ。

 現地採用の場合は、中国における個人所得税や社会保険の負担が大きい。そのため、田中さんのように赴任を言い渡されたら、まず手取り給与がいくらになるか注意すべきだ。特に、後に述べる社会保険については、地方によっても料率は異なり、個人負担割合だけで20%前後にもなってしまうからだ。

 もし田中さんが本社雇用の場合、日本本社との労働契約に加え、現地法人との間でも労働契約を締結することが考えられる。その場合、どちらの人事権が優先されるか曖昧になるため、トラブルが生じやすい。例えば、日本で労働契約が解除された場合に、中国での雇用の維持を主張して労働仲裁を行うなどのケースだ。

 田中さんは、まず本社と現地法人の間で出向契約が締結されているか確認し、人事権が本社と現地法人のどちらにあるかはっきりさせることが重要だ。最近では、現地法人への帰属意識を高めるために、待遇は日本在住時と同程度を維持するが、敢えて本社との契約を終了し、現地法人のみと契約するという方針をとる会社もあるようだ。

中途半端なポジションでは
現地で仕事がやりにくいかも?

2、中国の会社におけるポジションは?

 中国の会社の組織体制には、董事長や総経理など、日本人には耳慣れない言葉が多い。赴任前に現地法人の組織体制について一通り理解しておくことは重要だ。

 もし田中さんが、会社側から現地で従業員管理を課せられているのにもかかわらず、人事権がないポジションについてしまっては、仕事をしたくてもできない状況に追い込まれてしまう。