国境沿いでの中国との衝突を受けて、軍事力で見劣りするインド政府が従来とは異なる対応を模索し始めた。世界で影響力を強める中国に対抗するため、対中共闘を目指す他国との協力を深め、海上での軍事能力を重視する戦略へとシフトさせている。インドは、中国にとって石油・ガスの調達先である中東、および主要輸出市場である欧州を結ぶインド洋の航路上にちょうど位置している。中国の海軍は急激に拡大しているものの、まだ遠洋で展開する能力は限られており、自国の裏庭では米国と対峙(たいじ)しなければならない状況にある。インド海軍の元トップ、アルン・プラカシュ氏は「北部の国境では、膠着(こうちゃく)状態に持ち込むのがせいぜいだ。だが、海では中国に対して優位に立てる」と話す。「海上での軍事力を誇示することで、ぜい弱な立場にあることを中国に思い知らせることができる。つまり、われわれは中国の輸出やエネルギー調達にいつでも手を出すことが可能で、中国経済を脅かすことができるとのメッセージだ」
インドが海洋進出にかじ、対中共闘で国際協力強化
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