報道機関の求める内容には何であれ逆のことを言うドナルド・トランプ米大統領のこだわりは、自身の政治的な成功に少なからず寄与する半面、多くの自滅的な大失敗をもたらしてきた。後者の一例は、23日の記者会見で、「平和的な政権移行」を約束するかとの意図的に偏向した質問を受けた時の返答だ。メディアと知識人は、トランプ氏が今年の大統領選挙で敗北した場合でも、力ずくで大統領の座にとどまるのではないかという杞憂(きゆう)で狂乱状態になっている。こうした想像を否定するよう求められたトランプ氏は「何が起きるか見る必要があるだろう」と答え、こう続けた。「私は投票について極めて強い不満を表明してきており、投票は最悪だ」まず明白な点から検討しよう。トランプ氏が平和的な政権移行を止められるとの考えは、ばかげている。現在の任期は1月20日で法的に終わる。この日に議会が選挙人獲得数による勝者を認定しない場合――あるいは選挙人獲得数が同数のときに決着させられない場合、ナンシー・ペロシ氏が引き続き下院議長の座にあれば、彼女が大統領になる。共和党の上下両院の幹部らはすでにトランプ氏の発言に異議を唱えている。ジョー・バイデン氏が次期大統領として承認された後もトランプ氏が政権の座にとどまろうとすれば、トランプ氏への政治的支持は崩壊するだろう。
【社説】政権移行パニックあおるトランプ氏
大統領の発言は、選挙後にクーデターが起きるという左派の妄想を後押ししている
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