南アフリカ国旗Photo:PIXTA

新型コロナウイルス感染拡大のピークは過ぎたと思われる南アフリカ。経済活動も再開され、企業心理も急速に改善している。しかし、雇用関連指標は低空飛行のままで、家計の心理は上向かない。景気回復の足取りは重く、通貨ランドは上値を追えない状態が続いている。(第一生命経済研究所 調査研究本部 経済調査部 主席エコノミスト 西濵 徹)

外出制限措置長期化で
企業心理悪化し失業率30%に

 昨年末に中国で発見された新型コロナウイルスは、その後のパンデミック(世界的大流行)を受けて世界経済にとって最大のリスク要因となっている。

 足元では、感染拡大の中心が南アジアをはじめとする新興国にシフトしている上、欧州でも感染拡大の第2波が懸念されるなど事態収束に手間取る展開が続いている。

 南アフリカにおいては新規感染者数の拡大を受けて政府が3月末に非常事態宣言を発令し、その後は国境封鎖や都市封鎖措置に踏み切るなど強力な感染封じ込めに動いた。

 南アフリカはサブサハラ諸国のなかでは比較的医療インフラが整備されており、一連の対応により事態収拾が図られるかにみられたものの、外出制限措置の発動直前に買いだめの動きが広がり、結果的に感染拡大が加速した。

 外出制限措置の長期化を受けて幅広く企業マインドが悪化するなど景気減速懸念が強まった結果、足元の失業率は30%を上回る。