ドナルド・トランプ米大統領はここ半年、世論調査で常にリードを許している民主党のジョー・バイデン大統領候補に打撃を与える明確な決まり文句を探ってきた。だが、投票日まであと5週間足らずとなった今でも、その答えは見つかっていない。トランプ氏は9月29日に行われた大統領選の初回テレビ討論会で、これまで自身や陣営が繰り返し使っていた攻撃の材料をほぼ総動員する形で、バイデン氏を攻め立てた。トランプ氏のこうしたパフォーマンスは、前回2016年に同氏が見せた一貫した、説得力ある選挙戦を再現できずにいることを如実に物語っている。選挙戦略を担当する共和党関係者らはこう指摘する。今年の米大統領選の特徴は、世論調査の結果がほぼ動かないことだ。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)、リセッション(景気後退)、人種差別への抗議デモと問題が次々に発生する激動の年であるにもかかわらず、公表されている調査結果では、バイデン氏がトランプ氏に対して安定したリードを維持している。数日中に公表される最新の世論調査は、初回のテレビ討論会がこの構図に変化を与えたのか、手掛かりを提供しそうだ。