新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が金融市場を大混乱に陥れた3月、米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長は市場が機能不全に陥り、景気悪化に拍車を掛けるのを防ぐための融資プログラムの管理をラエル・ブレイナード理事に委ねた。ブレイナード氏はそれ以前から、ジョー・バイデン氏が11月の大統領選で勝利を収めた場合、経済政策担当トップに立つ候補として有力視されていた。同氏はハーバード大学で博士号を取得したエコノミストで、バラク・オバマ前政権時代は財務次官を務めていた。FRBのパンデミック対応を半年にわたって前進させてきたブレイナード氏は、2008年と2020年の危機対応に深く関与した数少ない民主党員の一人だ。このため、政治経済アナリストやバイデン陣営関係者の間では、バイデン政権が誕生した場合の財務長官候補として取り沙汰されている。