インターネットの「知の巨人」、読書猿さん。その圧倒的な知識、教養、ユニークな語り口はネットで評判となり、多くのファンを獲得。新刊の『独学大全──絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法』には東京大学教授の柳川範之氏「著者の知識が圧倒的」独立研究者の山口周氏「この本、とても面白いです」と推薦文を寄せるなど、早くも話題になっています。
この連載では、本書の内容を元にしながら「勉強が続かない」「やる気が出ない」「目標の立て方がわからない」「受験に受かりたい」「英語を学び直したい」……などなど、「具体的な悩み」に著者が回答します。今日から役立ち、一生使える方法を紹介していきます。(イラスト:塩川いづみ)
※質問は、著者の「マシュマロ」宛てにいただいたものを元に、加筆・修正しています。読書猿さんのマシュマロはこちら

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[質問]
ストレスで勉強がはかどりません

 心療内科に通いながら大学受験を目指しています。教えを乞える環境になく独学で一から学んでいます。本を読んでも頭に入らず、問題演習を行っても解けない自分の無能さに涙が出て来てしまいます。勉強を続けていると頭が圧迫されるように苦しくなり、あまりの苦しさに駄目だと思いつつも勉強をやめてしまい長続きしません。過ぎ去っていく時間からの焦燥感と自身の無能さからの強いストレスに日々苛まれています。気持ちを安定させつつ独学する方法があれば教えてください。重い内容でごめんなさい。

「できないことをできるようになろう」と思うと辛くなります

[読書猿の解答]
 既にプロにかかられているので私の出る余地はありませんが、一つだけ。受験勉強を「自分ができないことをできるようにすること」だと思って続けると、嫌になるし、心のブレーカーが働いてストップがかかります。

 繰り返し出来ないことに挑み続けることは、壁を殴り続けるようなもので、当然痛い。そして何であれ、行動の結果、嫌なことほぼ必ず起こるとなれば、その行動は続けられなくなるのが道理です。

 受験勉強も、他の学習と同じく、〈自分ができること〉という陣地を増やすゲームです。これは「できないことをできるようにする」のと似て非なることです。

 まずは自分ができることの棚卸しから始めましょう。自分に何ができるか分からなくなっている場合は、例えば中学1年の教科書を読み返して見てください。分かること、知っていると思われることを、箇条書きでいいので書き出してみてください。自分にできることが何かある程度分かってくると、解けない問題も、すべてが分からないのでなく、分かる部分もいくらかあることに気づくはずです。

 ある種のメンタルヘルスの問題があると100%分かる/分からないの白黒思考に陥りがちなので、この「分かる部分」についての気付きは重要です。

 分かること/できることの棚卸し(書き出し)には、やり方をご存じなら、マインドマップで書いてみるのもオススメです。後で参考書で調べたり、問題集の解答を読んで分かったことを追記しやすいので。

 一般に、新しく学んだことは、すでに自分の知っていることに結びつける方がよりよく定着するし、活用もしやすくなります。できることの棚卸しは、自分のメンタルを保守するだけでなく、今後の学習の陣地にもなるわけです。