多様な文化の中で
リーダーシップを発揮するには?

神田:今の話を聞いていると、本当に星先生自身が頭に描いたものを、皆さんとファシリテーションしながら、現在のスタンフォード大学・オンラインハイスクールが生まれたという印象を受けました。

私も外資系企業で働いていたことがあるので、人種・国籍が違う人たちとの意見形成の難しさを実感しています。

その中でリーダーシップを握っていくには、論理だけではなく、『スタンフォード式生き抜く力』の中で強調されていたエンパシーや利他的マインドを発揮されてきたことと思います。

英語を含めて、米国のような多様な文化の中でリーダーシップを発揮するときに、どこがポイントになったのでしょうか。

そこは日本人であることも有利に働く面があったのでしょうか。

星:ありがとうございます。まず、日本人であることが有利に働く面があったのかについては、かなりありました。

アメリカにきて20年ぐらいになりますが、今はそれなりに英語ができるようになってきました。でも、渡米した当初はそういうわけでもありませんでした。

日本にいれば英語は得意なほうだったとは思いますが、さすがにこっちにきたら全然通用しない。

でも、アメリカにきた当初から、しゃべれないならしゃべれないなりにものすごい得することがあるなあと思っていました。

たとえば、英語がしゃべれないので、こっちに伝える気さえあれば、相手もよく聞いてくれるのです。

それから、徐々に英語が上達してくると、自分なりに皮肉がいえたりするようになってくる。だけど相手は僕が英語をしゃべれないと思っているので、僕が皮肉をいっても皮肉ととらない。だから皮肉の言い放題(笑)。

こちらが英語がしゃべれない前提で聞いてくるので、なんでも相手が助けてくれやすい部分があると思います。それがありがたく、素直に、たくさん助けてもらいましたね。

神田昌典(Kanda Msanori)
経営コンサルタント・作家・日本を代表する国際的マーケッター
アルマ・クリエイション株式会社代表取締役
日本最大級の読書会である、一般社団法人リードフォーアクション代表理事
上智大学外国語学部卒。ニューヨーク大学経済学修士、ペンシルバニア大学ウォートンスクール経営学修士。
大学3年次に外交官試験合格、4年次より外務省経済部に勤務。
戦略コンサルティング会社、米国家電メーカーの日本代表として活躍後、1998年、経営コンサルタントとして独立。
コンサルティング業界を革新した顧客獲得実践会(現在は「次世代マーケティング実践協会」)を創設。
同会は、のべ2万人におよぶ経営者・起業家を指導する最大規模の経営者組織に発展。急成長企業の経営者、ベストセラー作家などを多数輩出した。
1998年に作家デビュー、100冊以上の著作を持つベストセラー作家である。
2018年、国際的マーケティング賞として著名な「ECHO賞」の国際審査員に選出。
ビジネス分野のみならず、NPO法人学修デザイナー協会理事を務めるなど、教育界でも精力的な活動を行っている。
星 友啓(Tomohiro Hoshi)
スタンフォード大学・オンラインハイスクール校長
経営者、教育者、論理学者
1977年生まれ。スタンフォード大学哲学博士。東京大学文学部思想文化学科哲学専修課程卒業。教育テクノロジーとオンライン教育の世界的リーダーとして活躍。コロナ禍でリモート化が急務の世界の教育界で、のべ50ヵ国・2万人以上の教育者を支援。スタンフォード大学のリーダーの一員として、同大学のオンライン化も牽引した。スタンフォード大学哲学部で博士号取得後、講師を経て同大学内にオンラインハイスクールを立ち上げるプロジェクトに参加。オンラインにもかかわらず、同校を近年全米トップ10の常連に、2020年には全米の大学進学校1位にまで押し上げる。世界30ヵ国、全米48州から900人の天才児たちを集め、世界屈指の大学から選りすぐりの学術・教育のエキスパートが100人体制でサポート。設立15年目。反転授業を取り入れ、世界トップのクオリティ教育を実現させたことで、アメリカのみならず世界の教育界で大きな注目を集める。本書が初の著書。
【著者公式サイト】(最新情報やブログを配信中)
https://tomohirohoshi.com/